一月七日、東京の母と上野松坂屋に現代書道二十人展を見に行った。
会場はご高齢の方達であふれていた。
お昼に美味しいおそばを食べたが、その隣のあんみつやさんで母がデザート(!)に粟ぜんざいを食べたい、という。
粟ぜんざいなど初めての私は興味津々、そばでふくれたお腹をものともせずお供をした。
…出てきたそれはたしかに美味しかった。

「こどものころから大好きだったの」
と幸せそうな母。
「この粟餅が熱くなきゃだめなの」
と満足気に味わっている。
ふと、店内。
ここもまた高齢者がほとんど。
「ほら、ひとりでちゃっときて食べてはる。なんか ほほえましいわあ」
と言ったのはネズミ年生まれの母であった。
見回すとかなり高齢な方。しかも白髪の男性も大盛のあんみつなどをぱくついている。
さっきおそば屋で近くに座ってた二人連れのご婦人方も、お汁粉を召し上がってる。
なにかこう、集中して味わっている感じだ。

母はニコニコしてる。
私もなつかしいようなほほえましいような気分に…粟ぜんざいはそんな優しい甘さの味でした。
人形劇ワークショップ こずえ塾のレッスンの中に、役者の五感の引き出しを日常的に豊かにする、という課題がある。
日常で何かを感じたとき(例えば、美味しい・きれい・ふわふわ・心地よい音・よい香りなど)その瞬間その感覚に集中して、より深く感じ、自分の中の役者の五感の引き出しに「入れとこ!」と意識的に取り入れるというもの。
五感の記憶だ。
ある日のレッスン帰りの受講生ふたり。あるトイレの前に来たとき何とも耐えがたい悪臭が!
…顔を見合わせたふたり。
「どうする?」
「いれとく?」
「やめとこか?」
「もっとええ匂い入れよな」
この会話、世に解る人は少ない。
ちなみにこの会話を通してその匂いはしっかりインプットされたと思われる。
この文書は、ウェブサイトえだまつこずえ事務所に掲載されたものです。