ノートブック

五感の記憶は感情をともなう

こずえ塾を受講された河合千重さんの文章です。

人形劇のワークの中でこずえ先生が言ってた事。
小さい頃の五感の記憶…。
味覚でも
視覚でも
聴覚でも
思い出してみた時に、
きっと、その時の気持ちもよみがえっているはず。
うれしかったり、悲しかったり、
いややなあ…とか、さみしいなあ…とか。

私の幼い時の五感の記憶は、
パイン缶の思い出。

初めてパイナップルの缶詰めを食べたのは、小学校へ上がる前。
妹はまだ生まれてなかった。

アイボリーな感じのカーテンに囲まれた部屋で、
従兄妹の家族と一緒に。
おじちゃんがベッドに寝ていた。
「よくきたね」
と小さな声でおじちゃんが言った。
わたしは、おじちゃんの枕もとのパイン缶が気になって気になって…。

おばちゃんが、缶切りで開けてくれた。
黄色いパインの色と甘い匂い…。
パインを一切れずつもらう。
甘酸っぱい。
こんな甘いものを食べたのは初めてで、
頭がくらくらした。
涙が出そうになった。

生きているおじちゃんに会ったのはそれが最後だった。

お葬式。
遺影の中で笑ってるおじちゃんの顔を見て、
あの時ベッドで寝ていたおじちゃんの顔を
ちゃんと見てなくて、
パイン缶ばっかり見ていたことを
少し後悔した。

今でも、
パイン缶を食べると、
病室の風景を思い出す。

この文書は、ウェブサイトえだまつこずえ事務所に掲載されたものです。