ノートブック

…ゥグッ!

ある日の人形劇ワークショップで。

「もし、自分が演技するその瞬間なにも感じずに、例えばおいしそうになにかを食べている演技のとき味も匂いも食感も感じず、食べてるものを鮮明に見てもいず、しかし実に見事に美味しそうに食べてる演技をしたとしたら、それでもいいんじゃないの?お客さんに美味しそうに食べてるなと伝われば」

頷かない受講生たち。

「だめなん?なぜ?
感じてなくても表現は全く同じなんやで?すごくじょうずに食べてるとしか思えない完璧な動きの表現なんやで?
どうちがうの?なぜだめなん?」

ひとりの若い受講生、手にはめていた彼女の人形をじっとみつめていたが、やがて優しい声でキッパリ答えた。

「この子が面白くないからです」
…ゥグッ!

この文書は、ウェブサイトえだまつこずえ事務所に掲載されたものです。